変な奴に会うことが増えた(その2)

 ■9月24日日曜日のできごと。

 この日、午後のほんのちょっと涼しくなった頃にレブル250のリアキャリアに装着したトップボックス用ベースプレートの固定強化作業を実施した後、その取り付け具合の確認をするために小一時間ほど周辺を走り、とりあえず大丈夫であることを確認して自宅に戻り、バイク関係の後片付けをした直後のことだった。

 後片付けが終わったので家の中に入ろうとしたら背後から何か声が聞こえた。しかし自分に対してかけられた声であるとは思わなかったので振り向くことなく玄関に向かっていたら再び声が聞こえた。

「すいません!」と言っている。

 やはり自分にかけられた声であるとは思わなかったのだけれど今度は明確に「すいません」と言っていることが分かったこともあって何も考えずに振り向いた。するとそこには三十代後半くらいの主婦っぽい女性がいた。見たことがない女性。おそらく近所の人間ではない。また何かの勧誘か営業の類だろうかと思った。

 その女性は再度「すいません!」と言った。そしてそれは明確に私に向けての言葉だった。

 私は声は出さず「何でしょう?」という表情をその女性に向けた。

 すると女性はぶしつけに私にこう言った。

「今晩一晩、ここに車を停めていいでしょうか?」

 女性が言う「ここ」とは私の自宅の前の道の、私の自宅から見て右斜め前の対向部分、つまり私の家の前の道を挟んで右斜め前の建物の前であり、つまりそこに「路駐していいか?」と訊いていたのであった。

 私の家の前の道は住宅街などによく見られる6メートル幅の、車2台が何とか行き来できるような生活道路であり基本的に駐車禁止である。しかし住宅街の道路ではよく見受けられるように、夜になると家の前の道に偶に親類もしくは友人といった人の車を停めたりすることがあったりする。厳密には前述したとおり駐車禁止ではあるが、その辺りは(度を越さない限りは)警察も見て見ぬふりをするというか地域の決まりに任せるというような感じ(もしくは、警察はいちいち戸別の路駐取り締まりなんてやってられないから)であり、皆適度に周りに迷惑をかけないようにお互い配慮し合っている。たぶんこれは他の地域でもたいていそうなんじゃないかと思う。

 しかし、今回私の目の前に現れた女性は近所の人間ではなさそうだ。確かに私は近所付き合いが良くないので近所の人の顔をすべて把握しているわけではないのだが、それでもこの女性は一度も見たことがない顔だと思えた。そもそも私の家の右斜め前にある建物は個人の住宅ではなく賃貸アパート数室を含めた雑居ビルみたいな建物で専用の駐車場はない。そのためこの女性が示す場所には車が(短時間)路駐していることが珍しくない。もしかしたらこの女性の車はその車の中の一台なのかも知れない。


 で、肝心の私の、女性の質問に関する答えだが、私はこう答えた。

「そこに路駐されても私んちは何とか車の出し入れができますけど、お隣さんやお向かいさんが何と仰るか? それは普通に考えたらわかると思います。(誰が見たって車の出し入れが非常に面倒臭くなるから警察に通報される可能性大だ。)だから私に訊かれても困るし、私の口から『OK』とはとてもじゃないけど言えません」

 これを聞くや否やその女性は「すいません」と言って車共々どこかに消えた。

 もし私がお隣お向かいのことを何も考えずに「いいんじゃないですか」なんて軽々しく言ってたりしたら、この女性はやっぱりそこに車を(一晩)停めたのだろうか? そしてもしお隣さんやお向かいさんから何かしら苦情がきたら「〇〇さん(私のこと)が停めていいって仰ったので」って言うんだろうか?


 私はこの女性の感覚が理解できない。それとも私の感覚がおかしいのか? いやいや、どう考えたってあの女性の方が非常識でおかしいでしょう? 

 六十年以上生きてきて本当に色んな人間を見てきたが、この手のタイプは初めて。(私の偏見、もしくは決めつけであることは重々承知であることを先に申し上げておくが)本当に最近変な奴に会うことが多い。それも向こうから勝手にやって来るばかりだから困りもの。この流れ、何とか変えられんものか? それともこの訳のわからん変な流れの先に素晴らしいことが待ってるとでも言うのか? いいや、そんなこたぁありえんわい!


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