クリスマスイブの思い出
■今宵はクリスマスイブ。と言っても私にとっては単に夜にローストチキンレッグを食べる日。ジジイではあるが、まだ孫はいないのでクリスマスなんて、そんな程度の日である。
しかし思い返せば私にとってクリスマスイブなんてものは碌なことがない日の代表みたいなものだった。クリスマスイブというと恋人たちが素敵な夜を過ごすというイメージが私のような年代の人間には色濃いが、私のクリスマスイブヒストリーは、それはそれは悲惨なものだった。唯一いい思いをしたのなんて三十数年前に当時はまだ彼女であった今の連れ合いと結婚前に過ごしたクリスマスイブくらい。後は本当に悲惨。
だがそれでもそういったこと以外で楽しめたクリスマスイブも、ないことはなかった。
例えば大学時代は二回生になった頃から大阪は梅田の東通り商店街の入り口にあった某ケーキ販売店でアルバイトをし始め、それは卒業するまで続いたのだが、クリスマスイブの日はそこで深夜までクリスマスケーキを売るのが常だった。山のような量の大小のクリスマスケーキが飛ぶように売れていく。いつもは暇な店であったが、やはりクリスマスイブだけは特別で、それはそれは凄まじいほど忙しかった。だがそれは本当に楽しいものだった。(今にして思えばあの時代だったからあんなにケーキが売れたのだろう。今とは本当に比べ物にはならないくらいだ。)
そして店が終わると社員さんや他店から応援に来てくれていたアルバイトたちと一緒に居酒屋に行ってたらふく飲み食いさせてもらい、その後サウナ店(確か「ニュージャパン」っていう店名だったと思う)でサウナに入った後、そこでそのまま仮眠し朝になって帰る。そして翌クリスマスの日は前日売れ残ったクリスマスケーキを叩き売りする、といったことをやっていた。
あれはあれで楽しかった。しかし、おかげで学生時代のクリスマスの思い出と言えばそれしかない。当時は彼女と呼べるような存在はおろか女友達さえもいなかったから逆にそういうことをしていて良かったのかも知れない。そういうことをしていなかったら私みたいな学生のクリスマスなんて本当に悲惨だっただろう。だから今は本当にいい思い出だ。
しかし、そんな思い出のある店も私が社会人になって数年後になくなった。そしてその周りのビル(OS劇場、懐かしいなぁ……)なども建て替わってしまったから記憶に残っている風景は本当に跡形もなく消えてしまった。今でも本当に偶に大阪は梅田にある東通り商店街を訪れることがあるが、今はもう別世界。そしてあれはもう記憶の中にしかない世界だ。
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