私はこういう性分の人間である

 ■町内にある散髪屋にて髪を切って(例によってスポーツ刈り)もらい、すっきりして店を出たら自分の傘がない!!

 傘はビニール傘だ。しかしそんなに安いものではない。少し大きめの6~700円ほどしたものである。

 散髪屋に入る時はビニール傘はなかった。先客の若い母親と小さな男の子のものと思われる傘が2本入れてあった。しかし店を出た時に傘入れにあったのはビニール傘ではない傘が2本と明らかに自分のものではないことがはっきりわかるビニール傘1本で、自分のビニール傘の姿は完全になかった。

 もしかしてこの残っているビニール傘の所有者が私のものと間違えて持って帰ってしまったのかと思い、店員さんに言って店内に所有者がいるかどうか確かめてもらったところ、所有者がいた。

 ということは私のビニール傘は完全に「盗まれた」ということである。

 マジでむかついた。 

 傘入れに入れた際、「ビニール傘だから間違えて持っていかれたりするかなぁ~」と若干危惧したのだが、まさか完全に盗まれるとは思っていなかった。いったい誰が盗んだのか? まさか私の前にいたあの若い母親と小さな男の子か? 疑いたくはないが人はやはり見かけでは判断できん。某MLB野球人の専属通訳ではないが「まさか、あの人が!」という人間がとんでもないことをしても珍しくない世の中。誰がどんな悪事をするかわかったものではない。だからもしかしたら通りがかりの心ない人間が盗んでいったのかも知れないし……、そこんところはもう誰もわからない。

 昔、某ファーストフード店で客が傘を盗まれて店長に猛抗議していたのを見たことがある。「店内持ち込みがダメで、ここに強制的に傘を入れさせているのなら盗難にあった時のことを店として保証しろ!」と。確かにその際の傘入れは施錠ができず単に傘を置いておくだけの、盗難にあっても何ら不思議のない傘入れで、傘を盗まれた客の言い分もわからないではなかった。店長は「そこまで保証していない」と言いながらずっと頭を下げていたが客は納得していなかった。その際、「たかが傘くらいでそんなに激怒しなくても……」と思ったものだが、今私はその時の客の気持ちがよくわかる。

 おそらくその客は怒りをぶつける先は店長ではなく傘を盗んだ盗人であることなんて重々承知。しかし、じゃあこの理不尽な出来事に対する怒りをどこにもっていけばいいのか、こういうことが起きる可能性があるのに、どうしてその対策をしていないのか等等、怒りの矛先はどうしても店長になってしまうだろう。

 それに傘なんてそんな高いものではないから、そこまで激怒するほどのことではないもわかっている。だが値段ではないのだ。安かろうが高かろうが「盗まれた」という、その犯人とこの理不尽な出来事にどうにも抑えきれない怒りが沸いてくるのだ。

 今回、私も店の対して何かしらのクレームを言おうとした。

 こんな店内から見えないところに傘入れを置いたら盗まれる可能性大ではないか!

 しかも代わりの傘がないと言うが、それって傘が盗まれた客に「雨に打たれて帰れ」って言うてんのか!

 等等。

 しかし「マジか! シャレにならんわ!」と言い放った後、「もういいよ!」と言って店を出た。カット代が数千円もするそこそこの理美容店であればまだしも、カットのみ税込み1200円という低レベルの店にまともな対応を期待したところで所詮無駄である。

 おかげで私は小雨の中を傘なしで帰る羽目になった。大降りではなかったことが幸いであったが、それでもそこそこ濡れてしまった。


 帰る道中、呪文のように私は呟き続けた。


 俺の傘を盗んだ奴、地59へ堕ちろ!

 俺の傘を盗んだ奴、天罰を受けろ!

 俺の傘を盗んだ奴、苦しんで苦しんで4ね!

 ずっとずっと呪ってやる!

 

 私はこういう性分の人間である。

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