自分で「自分らしいわ」と思った

 ■先日、市内にある総合病院の類を受診。今年の2月にコロナに感染し、それが完治した翌3月下旬に例年よりもきつい症状の花粉症を発症した。それは例年どおり、くしゃみ・鼻水・鼻づまりという典型的なものであったのだが、そのレベルはこれまでに経験したことのないほどの酷さでMAX。いつもなら市販薬で対応していたのだが、さすがにそれでは症状が緩和されなかったため、よく行く耳鼻咽喉科を受診して専門的な治療を受けたところ、それからしばらく経った4月中旬あたりで完治した。

 やれやれ、今年の花粉症はきつかったなぁと思っていたのだが、それから2週間ほど経った頃から花粉症とはちょっと違うような新たな症状が出始めた。どんな症状かというと以下のような感じだ。

・どちらが先かその時々で違うのだが、急に咳が出る、もしくは鼻か喉の奥に炎症が起こったような「痛い」と言うほどでもない程度の痛みのような症状が出る。

・発症する時刻は特に決まっていないが比較的夜、深夜に発症することが多い。

・発症すると、くしゃみ・鼻水・咳に見舞われるのだが、咳は咳き込むほどに徐々に激しいものとなり、やがて気管支が苦しくなるほどにまで悪化する。

・発症すると症状は約2~3時間ほど続き、酷い場合は半日ほど続くのだが、症状が治まると「そんなことが本当に起きたのか?」と思えるほど体は正常な状態に戻る。

・上記のような症状が、2日もしくは3日周期で発生する。


 今年の4月中旬からこのような症状がずっと続いていたのだが、「そのうち治るやろう」と思っていた。

 だがいつまで経っても症状は治まらず、さすがに周りからヤイヤイ言われるようになってしまったので、5月の下旬に前述のよく行く耳鼻咽喉科を再受診して症状を申告して診察を受けたのだが、その際はまったく症状が出ていなくて、対処療法中心の町医者では結局「耳鼻咽喉科的には何の問題もない」(つまり「原因判明に至らず」、もっとわかりやすく言うと「当院ではわからん」)とのことだったので、仕方なく紹介状を書いてもらって、それを持ってもっと大きな総合病院の類を受診することになった。そして先日受診してきたわけである。

「どうせ総合病院に行ったって、はっきりした原因なんてわからなくて、結局は対処療法的に薬を処方されて、それを服んでしばらく様子見て、それでもまだおかしかったら『また来い』って言われれるだけだろうよ」

 受診前までそう思っていた。今の医療って急患はまだしも、外来なんて町医者だろうが総合病院だろうが、大昔と違って親身さの欠片もないところばっかりだから基本は事務的な診察になるだろうから、よほど重篤な症状が出ていない限り、そんなふうな扱いをされるんだろうなぁって感じでね。

 ところが実際に受診してみると、さすがに最近できた総合病院の類だからか、単なる診察だけでなくCT等も含めた諸々の検査もやってくれた。おそらく町医者レベルではまずありえないだろう。こちらにしてみれば「嬉しい誤算」で「やっぱり総合病院は違う!」と思うくらいだった。その代わり待ち時間の類も町医者レベルではまずありえないレベルではあったが……。

 それで診断の結果だが……。

・鼻腔内に軽い蓄膿の症状が見られ、その膿が喉を刺激して咳を引き起こしている可能性あり。

・喘息(ぜんそく)を発症している疑いがあり、現症状の主たる原因はこちらである可能性が高い。


 喘息?

 そう言えばつい最近聞いたぞ。誰かがこれの発作を起こして急4されたって……。

 そうである。あの上方落語の重鎮であった桂ざこば師匠が喘息(ぜんそく)で最近急4されたのであるが、同じ病に私も冒されているらしい。それをほぼ確定させたのが今回初めて受けた「呼気NO検査」(呼気中の一酸化窒素の濃度測定)だ。これは機械に息を吹き込んで呼気中のNO(一酸化窒素)の濃度を測定するものであるが、日本の成人健常者の正常上限値は、36.8ppbで、それを超えると「喘息(ぜんそく)」との診断になる。それで今回の私の場合は、成人の高値MAXが50ppbであるところ、何と80ppbであった。

 医者はまだ今日の時点でははっきりと「喘息(ぜんそく)です」とは言わなかった。薬を処方するからそれを2週間服用して再受診するようにということであったのだが、この数値を見る限り(帰宅後に喘息に関する諸々のサイトを色々ググって、あれこれ読んだりもした上で)、「おそらく自分は喘息という病を発症した」と認識した。

 ショックを受けたか?

 強がりでも何でもなく、まったく「ショック!」という気持ちはない。

 むしろ「な~んだ、喘息かよ……」っていう感じだ。「それが命を脅かす病の一種であることを重々承知した上で」でだ。

 実は今回の症状に加えて1週間前ほどから舌の付け根あたりに少々痛みを伴う「できもの」みたいなものができていて、それは「口内炎の類」と言えばそうなのだが、見ようによっては少々グロっぽいできもののようにも見えて、「これってもしかして舌癌の一種か?」と思って、ネットでそれに関する画像なんかも検索したりして、今回の症状とも絡めて色々調べたりしたのだけれど、もちろん素人である自分には何の判断もできず何もわからなかった。そして至った境地が「最悪、癌なら癌でもええわ」であった。

 以前ここに書きもしたかも知れないが、ジジイとなったこの身に、もはや今後に対する夢も希望もなく、今生きている日々は「おまけ」もしくは「被搾取価値の残りの消費期間」という「残日」であると認知している私にとっては、あの世に召されることは(痛かったり苦しかったりするのはまっぴらごめんだが)何ら恐ろしいことではないのある。下手に苦しむ病気になって長患いしてあの世に行くくらいなら、「余命Xカ月です」と言われて、その期間経過後にあっさりあの世に行く方がよい。(その方がいわゆる「終活」もやりやすい。)それゆえ「もし癌やって言われたら、体が動くうちに、いらんもんをさっさと整理していかんとあかんなぁ」などと思っていたのである。

 ところがだ……。喘息か……。

 決して喘息という病を軽々しく捉えてはいないのだけれど、「喘息って苦しんだ挙句にあの世に行く代表的な病の一つ」というイメージが強いので、「痛かったり苦しかったりするのはまっぴらごめん」である私には「ありゃりゃあ……」なのであるのです。そして「喘息」という病を発症した今だからでしょう、痛切に思いました。

 ざこばさん、さぞかし苦しかったやろうなぁって。

 そんなこんなで数ある既往症にまた一つ新たに「喘息」という病が加わったので、その症状をも日々意識しなくてはならなくなった。できれば「見知らぬ場所で誰も知り合いがいない際に発作を起こしてあの世に行く」というのだけは避けたいと思うのだが、バイクに乗ってあちこちソロツーしている身の上だから、それも可能性として受け入れておかねばならんし、そうなった際に周りに迷惑を掛けないように、事前に何かしら準備しておかねばならんかな。

■追記

 診察と検査がすべて終わり、会計で待っていた際に自分が持っている紙の番号「294」を見て、ふと思った。

 「縁起でもない」とか「思い込み過ぎ」だとかの類の意識レベルなんて超越したような感覚で、あっさりと、そしてスンナリと以下のように思った。

「2029年の4月にあの世に行くってか。ふーん、そうなんだ」

 こういうカルトっぽい話って私は基本的に信じないし、書くのも言うのも「大嫌い」のレベルなものの一種なのだが、どういう心境の変化なのでしょうね、あっさりとそう思ってしまいました。

 そしてその直後に思ったのが

「えー!、あと5年しか生きられへんのか!」

ではなく、

「えー、あとまだ5年も生きなアカンのかよ!」

 だった。

自分で「自分らしいわ」と思った。

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