もうギターは無理か?

■相変わらずギターの練習を続けている。細々とだが。しかし最近になって「もうギターは無理かな」って思うことが多くなった。その原因は何かというと、技量ではない。技量なんてもうウン十年も前から「上達」なんて言葉とは無縁の状態になり、今や「昨日の状態を何とかキープする」というのが目標みたいになっている。だから下手でも何でも(もはや自分以外の人に聴かせる気も失せているから)自分で相応に納得できたら良いというレベルだ。

 では何が「もうギターは無理かな」という思いに至らせたかと言うと、身体的問題である。

 具体的には左手の人差し指、中指、薬指、小指、の指先というギターを弾く上て基本的に必須となる箇所の痛みである。

 昔は弾けば弾くほど指先は硬化し、そのうち長時間弾き続けても何ら問題がない状態になった。弾いていても痛みなんて全然ないから弾き続け、それが技量の上達にも寄与していた。しかし、歳を取ってからは指先はそういった状態になることはほとんどなく、年々痛みばかりが突出して目立つようになってきて。それでも頑張ってこの数年は練習を続けていたのだが、最近はその痛みにもう耐えられなくなってきた。

 どんな状態になるかと言うと、四本の指先すべてに魚の目のような痛みが走るようになった。指先の硬化は中途半端なままで、更には押さえ方が下手糞なのであろう、ものの10分も弾いていたらすぐに痛くなって弾けなくなる。そしてこれが「ギターを弾く」という行為においてのみであればまだしも、日常生活にまで悪影響を及ぼすことになってしまった。

 具体的な例を挙げると、パソコンのキーボードを叩く際に痛みが走ったり、何気に何かを持ったり触ったりする際に当たり所によって指先に痛みが走ったり、である。どれも普段の生活において非常に困ることだ。特に前者になると私の職業柄4活問題に発展する可能性が無きにしも非ずだ。パソコンのキーボードが痛くて叩けないなんてことになると、私の場合は「まったく仕事ができなくなる」と言っても過言ではない状態になる。これは本当にシャレにならない。ただでさえお世辞にも働きが良いとは言えない今の私だ。こんなことで会社から目をつけられたりしたら、そのうちマジで職場から弾き出されかねなくなる。

 厄介なことに一度この状態になると、それは2~3日続くから、その間は今は痛みに耐えるしかない。

 この症状はもはや改善されることはなかろう。年齢が上がっていくにつれて益々常態化すると思われるし、痛みの度合いも激しくなっていくだろう。

 老化というのはこういうところにも起こるのだ。

 単に痛みだけであれば我慢して弾き続けるのであろうが、その悪影響が実生活にまで及びだすと、これは今の私にとっては本当に4活問題である。ギターを弾くことは今も変わらず大好きだ。しかし、すべてを引き換えというか犠牲にしてまでそれを続けられるかと訊かれると正直言って無理だ。そこまですべてをギターに捧げるつもりはない。職業的ギター奏者であれば生活のこともあるから、どれだけ痛かろうと(それこそ血が出てこようが)弾き続けるのかも知れないが、単なる趣味というか下手の横好きでやっていることに残りの人生を捧げるほど馬鹿ではない。物を整理するのと同様、できなくなったことも潔く整理せねばならんと最近痛感している。

 そんなこんなで、この状態(指先に魚の目のような痛み発症する)がこの先本当に常態化するようであれば、おそらく徐々にギターを弾かなくなるだろう。そしてやがて本当に整理せねばならん時が必ずや来るだろう。それはそれで受け入れざるを得ないと思うのだが、それによってまた新たな何かが私にやってきてくれるかも知れない。いやもう来ないかな……。


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