絶不調は続いている
■長野から帰ってきた翌々日、連れ合いは仕事であったが私は夏休みの最後の日であった。しかし病院で、ある検査を受けるため仕事に行くのとほぼ同じ時刻に家を出た。そして病院につくと検査を受け、その結果をもとに医師の診断を受けた。詳細は割愛するが「大きな問題はないが様子をみろ」という結果。とりあえず安心。
その後実父母の介護に関する用事、そして実父を車に乗せて買い出しする等、昼過ぎまであれこれやって、午後1時過ぎに自宅に戻った。
正直言ってその時点でメチャクチャ疲れていた。やはり自宅と娘夫婦宅のある長野県との約450Kmの距離を車で往復運転したことは、その時は大丈夫と思えたものの、やはり後になってこたえた。若い頃と違って体の疲弊は2~3日経ってから露見し始める。そしてなかなか元に戻らない。その状態で更にあれこれ体を使うことをすると更に疲れる。この時もけっこうな疲弊感があって昼飯を食べてソファに座っていたら強烈な睡魔に襲われ、そのまま寝入ってしまった。もう今日は誰にも会いたくないし何もしたくないって気持ちだったし、休みの最終日であったこともあって「誰も邪魔するんじゃねぇぞ!」という感じで居眠りに浸っていた。
いったいどれくらい居眠りをしていただろうか。ちょうど気持ちよくなって深めの眠りに入ろうとしていた頃合いだったかに「ピンポーン」という音がした。半分眠った脳で「誰か来た」と思った。せっかく気持ちよく寝入ろうとしていたのに、いったい誰だろうかと思ってインターホンのモニターを見ると見覚えのないご婦人の姿があった。いつもなら居留守を使って無視するのだが、なぜかその時は「はい」と言って応えてしまった。もしかしたらご近所の方かも知れないと一瞬思ってしまったからである。
するとそのご婦人はいないと思っていたのにいたからか無意味と思えるくらいの明るさで「突然お尋ねして申し訳ございませ~ん」と言い、それに私が寝ぼけたような感じで「はぁ……」と応えると「猛暑が続いていたのに、もうぐっと秋の爽やかな気候になってきましたが、いかがお過ごしですか?」と来たので、「アレ? これはもしかして……」と思ったら「実は今日は宗教についての素敵なお話がありまして……」云々を話し始めた。
私はそれでほぼ目が覚めた。同時に「人がせっかく気持ちよく寝入ろうとしていたけど、ご近所さんらしき人が来たと思ったから受け応えしたのに、テメエはあのうっとおしい宗教の勧誘のババアか!」と思ったら無性に腹が立った。そして寝起きを起こされたというのもそこに加わったからか怒りが沸点に達し、すぐに「そんなもんいらんわ! さっさと帰ってくれ!」とキレ気味でインターホン越しに怒鳴ってインターホンを切った。
私は昔から宗教の勧誘が大嫌いだ。昔は街を歩いていたら、よくしつこく勧誘されたことがあったが、その度に「いらんわ!」と言っては追っ払っていた。そしてそれ以上に大嫌いだったのが真昼間に訪ねてくる宗教勧誘の奴らだ。時にババアが、時にジジイが、時に単独で、時に複数で、そして時に(やり方が汚いったらありゃしないと思うのだが)ガキを伴ってやってきては要件をなかなか言わず遠回しに宗教に話を持っていくような口ぶりでダラダラとどうでもいいことを一方的に話してくる。昔はそれに対して丁寧に断っていたものだが、最近はもう「どうしてこっちが気を使わねばならんのだ!」ということでけっこうきつめに断りを入れている。ぶっちゃけ、それと分かった時点で「いらんから帰ってくれ!」と言ってインターホンを切るし、モニターを見てそれらしき奴らと思ったら完全無視している。
この日も最初から完全無視してやれば良かったのだが変にご近所の人かと思ってしまったのが災いの素だった。最近の奴らってそういう格好をしてやってくるのだよ。ホントにウザくてズルイ、最低な奴らである。
おかげでせっかくの気持ち良い眠気が吹っ飛んで、どこにも向けようのない腹立たちさだけが残ってしまい気分は最悪であった。
以前から思っているのだが、あの人たちは自分たちがやっていることを迷惑だと思う人間がこの世に多数存在しているということを理解できないのだろうか?
布教したければ勝手にやりゃいい。信教は自由だ。憲法でも保証されている。しかしだからと言って何でもかんでも許されるわけじゃない。いつだったかは「迷惑だから来ないでくれ! 他の人にもそう伝えてくれ。お願いだから二度と来ないでくれ!」とさんざん伝えたことがあったのだが、そんなのはまったくの無駄な行為で、しばらくしてほとぼりが冷めたら他の奴が何食わぬ顔でまた同じような口ぶりでウザイ勧誘話を持ち掛けてくる。
本当にエエ加減にせぇよ、って!
ここ数か月、そいつらはやって来なかったのに、ここに来てまた出没し始めた。今の私にとってはあいつらは、はっきり言って住宅街に出没して迷惑なことをする「猿」や「猪」と同じである。いや今や全国レベルで迷惑を振りまいている「熊」と同じだと言っても過言ではない。
誰かインターホンのボタンを押した奴がそれ系の人間だったら自動でボタンに電気を流してビビらして退散させるというような機械とか、近づいてきた奴がそれ系の人間だったら目を赤く、そして激しく点滅して光り輝かせつつ大きな音で「ウォーッ! ウォーッ!」と唸りまくるか、それか「要らんわ、帰れ! 二度と来るなボケ!」と叫びまくる怪物のような置物の類を作ってはくれまいか。きっとそれなりに売れるんじゃないかと思うのは私だけではあるまい。
いや、それ以前に映画などで悪魔に十字架を見せて撃退するといった映像を昔見た記憶があるが、奴らを撃退できそうなそういうアイテムの類、例えばお札とか魔除けとかってないものか? そういうのがあればインターホンの上に飾っておきたいとさえ思ってしまう。
とにかくあんな奴らとは関りたくないと思っているのだが、それでもやってくるっていうのは、やっぱり私は今も絶不調ということなんだろうなぁ……。
コメント
コメントを投稿