やはり2月は鬼門であった(2)

 ■2月6日火曜日の朝。いつもの時刻に目が覚めた。今日はテレワークなので、もう少し寝ていても良かったのだが、連れ合いは仕事だったので私もほどほどの時刻に寝床から出た。

 いつものように居間に行くと自分の体に何となく違和感を覚えた。

 今日はいつもより寒いのか?

 居間はガスファンヒーターがいつものように稼働していて表示されている気温はいつもとさほど変わらない。しかしそれにしては何だか寒いのだ。

 私は普段の平熱がけっこう低い。この時期になると気温自体が低いからか私の体温も35度代が常なのだが、それゆえ気温が低い日になるとつられて私の体温も低くなり最悪は低体温症のような状態になる。言ってみれば熱中症の逆。経験したことがある方ならわかると思うが、これも結構しんどい。

 もしかしたら今日はその傾向が出ているのかと思い念のため体温を測ってみた。

 結果は私の予想なんて吹っ飛ぶような異次元のものだった。

 何と体温計は38度という結果を表示していた。

 まさか……。

 体温計が38度を示すなんていったい何年振りか! おそらく8年前にインフルエンザに罹患して以来ではなかろうか。

 しかしこの発熱の原因は何か? 

 いやいや容易に想像がつく。

 これはもう実父のコロナが感染したとしか思えない。

 連れ合いに「熱が38度ある」というと一瞬で連れ合いも「まさか!」という表情になった。おそらくコロナであろうということは連れ合いも共通した認識であった。

 そこから色々協議である。連れ合いは今日は夕方まで仕事だ。職種というか勤め先の事情により急に休むということは難しい。さてどうするかとなったのだが、コロナもあるがインフルの可能性も無きにしも非ずだ。インフルの場合は発熱して6時間くらい経たないと検査しても反応がでない。私自身は38度の熱が出ていたものの、この時はさほどしんどさはなかったので、それじゃあインフルのことも兼ねて夕方に医者に行こうということになった。

 それから私は娘が使っていた部屋に隔離。正直なところ今更感はあったのだが、まだ連れ合いには染っていない可能性はないことはないだろうと思ったのでその部屋に籠ることにした。

 まあ大したことなかろう、と単に熱が高いだけでしんどさもほぼなかったので会社に事情は話すもののテレワークだから医者に行くまでし仕事しようかなぁと思っていたのだが甘かった……。

 連れ合いが出かけてから体温はみるみる上昇し、あっという間に39度に到達。


 この時点(午前8時半頃)で会社に連絡。もちろん休まざるを得ない状況を話し、そのままお休みさせてもらった。そして午前10時半頃には39度4分にまで上がったので、40度に到達するのは時間の問題と思えた。

 さすがにここまで熱が上がるとジジイの体にも異変が起こる。喉は痛いわ、体は痛いわ、頭がボーッとしてフラフラするわ……、上半身が異様に重いわ等々、このままだと本当に40度に到達して下手したら肺炎になるんじゃないかという一抹の不安が過り、「コロナ感染のジジイが自宅で孤独死」なんてことだけは避けたいと思ったので、たまらずロキソニンプレミアム(つまりは頓服)を2錠服んだ。今や第5類扱いになって巷では以前のような「死に至る可能性大のウィルス」ではなくなったかのような扱いになっているが、どっこい今でも「コロナはコロナ」だ。今も人知れずこのウィルスによって命を落としている人がいるのだ。単にメディアはそれを以前のように頻繁に報道しなくなっただけなのだということを忘れてはいけない!

 昼過ぎに薬が効いたのか熱は38度代にまで下がった。しかし薬の効果が切れたらどうなるのだろう。また体温は上昇に向かうのか?

 しかし不思議だ。これほどの熱が出るとこれまでの例だと「死んだように眠る」というのがほとんどだったのだが今回はいっこうに眠気がやってこない。ロキソニン(頓服)を服んだのだからすぐに眠気がやってきて寝てしまうだろうと思っていたのだが、まったくと言っていいほど眠気がやってこない。それに実は体がそんな状況なのに今これを書いているのだよ。高熱が出ている時なんて今までだったら文字を書くのはもちろん、PCでキーボードを打ち続けていたらすぐに目やら頭がクラクラしてとてもそんなことやってられないのだけれど今回に限ってはそうでもない。とても不思議だ。まるで得体の知れない何かから「今の状況をつぶさに書き残せ!」と言われているみたいな感じで、今の自分はそれに素直に従っているかのようである。これはいったいどういうことであろう。今までこんな感覚なんて経験したことがないのだけれど、これがコロナというものなのであろうか!?

 午後4時半頃に連れ合いが帰宅。そのまま医者に行く。医者には熱があることを予め告げていたので中に入らず外で検査を受ける。

 結果はやはりコロナ陽性で、インフルエンザは陰性であった。間違いなく実父から感染したのであろう。

 しかしコロナとは改めて書くが「厄介」だ。インフルエンザであればタミフル等の専門薬が処方されるが、コロナの場合はゾコーバという重症化を防ぐ薬が処方されることが多いらしいのだが、それがまた3割負担の我々だと9000円もするのである。こんな高価な薬なんて簡単に処方してもらうわけにはいかない。医者も高価であるからだろう、こちらにどうするか訊いてくるではないか。もちろん答えは「不要」。肺や心臓に持病がある人にとっては必須のようだが、そうでなければ必ずしも服まねばならないものではない。私は幸いなことに肺や心臓に持病はないし、血中酸素もその場で量ってもらうと98%だったので特に必要なしという結論に至ったのである。もちろん解熱剤としてロキソニン(頓服)は処方してもらったので、それを服んで熱が去るのをひたすら待ち続けるしかない。私の場合何日かかるのであろうか。

 それにしても皮肉なものである。数日前に「備忘録_1月27日(土)~1月28日(日)」にて

「この辺りからまた胃のショボショボシクシク痛みが現れてきたので胃薬を服んだがあまり解消されず。これ以上ひどくならないことを望むが、逆に「どうせなら入院するくらいの症状になれ」と思ったりもした。思えば昨年の年末辺りからどうも色々な流れが良くなくて、正直少々疲れ気味。体力が落ちているが何より気力の方が落ちている。できれば一週間くらい入院でもして英気を養いたいところだが、まあそんなことにはならんだろうし、今の自分には許されないような部類のことなので、このまま耐えて症状が治まることを願うしかない」

というようなことを書いたが本当にこんな目に遭うとはねぇ……。

 毎度のことだが「プラスの願い」が聞き入れられることはなく「マイナスの願い」ばかりが具現化する。ネガティブな人間であることは認めるが、だからと言って不幸になることを望んでいるわけじゃない。人並みに幸せを望んでいるのだが、どうもそれはストレートにはやってこない。遠回りを繰り返しつつ迷路をあちこち壁にぶつかりながら進んでやっとのことで出会えるのは、ほんの微かなレベルの幸せ。世の中って本当に不公平だね。まあ後は期待するとしたら「災い転じて福となす」かしらね。だから「人間万事塞翁が馬」の心境でいるしかないね。


コメント

人気の投稿